建具に描く壁画と発光塗料で描く宇宙の天井画。
大きな建具を壁に見立てて壁画のような仕上がりの障壁画、FRP造形にルミライトにて宇宙を描画する天井画、その他デザインなど。
建具に描く壁画と発光塗料で描く宇宙の天井画
天井にはFRP造形の上にブラックライトで 光る塗料を織り交ぜた宇宙、和室との境にあたる折戸には恐竜、入り口に当たる大きな引き戸には鯨の絵を描きました。
オーナー氏曰く「地球の歴史上最も巨大な生物と最も巨大なほ乳類」を宇宙の元に描くことによって、壮大な時間の流れを感じたいとのこと。
壁は地層を表現する水平に層をなした漆喰仕上げと、凝った作りになっています。
応接室
廊下へと続く引き戸と、和室へと続く全面開口の折戸の二つの大きな建具があり、そのどちらにも壁画のような絵を描きます。
6枚折戸
建具は開口に会わせた特注品、応接側は完全にフラットで、開くための取っ手も取り去りました(当初取っ手金具がありましたが、設置時にオーナーの希望でフラットに)
和室側は民芸調のデザインに染色とエイジング、季節の植物の古典絵画を和紙にあしらったデザインです。
4枚引き戸
こちらも大きな建具で、サイズに合わせた特注品です。
磨りガラスの部分は古代遺跡などのデザインを施したサンドブラスト仕上げ。下部には鯨の絵を描きました。
宇宙を描いた勾玉上の造形を組み込んだ天井。ブラックライトによる発光を伴う。
絵画を含む建具のデザイン
デザインについての覚え書き
当初、コーナーをまたぐ広大な景色と夕焼けのデザインで進んでいましたが、オーナーの希望により青を基調とした鯨と恐竜のデザインに変更。数年後に絵を変更することも楽しみのひとつと言えるかもしれません。
建具はすべて民芸調の染めを施した。デザインして作ってもらった建具に染色までするという、この何でも屋加減が結構たいへんです。
古色を用いた染色を踏まえたデザインを提案。
光の方向で見え方が変わる表裏に紙を貼った太鼓張りや、一部を雪見障子にした縁側の障子など、建具屋さんに教わった数々の技も踏まえて、慣れない建具のデザインには苦労しました。
初出:2004.02.25
細井工房